三池焼は、赤い器(辰砂釉をかけた やきもの)を特徴とする熊本の窯元です。ゆのみ・珈琲碗・皿・鉢・それに花器…和食器全般を陶芸作家が心を込めて作っています。

よくあるご質問を以下掲載いたします。参考にして下さい。

Q1.辰砂とは何ですか?
A1.「しんしゃ」と読みます。辞書で調べるとまず、「水銀と硫黄との化合物」とでてきます。これは昔中国で建物などに塗る赤い顔料として使われた物ですが、焼き物には使われません。焼き物の場合の辰砂とは「銅を着色材とした赤いうわぐすり」のことであり、建物などに塗る「辰砂」とは全くの別物です。「うわぐすりの辰砂」が「建物などに塗る辰砂」より後ででき、その色合いが「建物などに塗る辰砂」に似ている為、「うわぐすりの辰砂」も「辰砂」とよばれる様になりました。「うわぐすりの辰砂」は正確には「辰砂釉」と言うべきでしょうが、焼き物の世界ではただ「辰砂」とよぶ場合が多いです。

Q2.赤い色をした焼き物は全て辰砂ですか?
A2.焼き物の場合、赤いうわぐすりは辰砂以外に鉄を顔料とする物などいくつかあります。辰砂釉の場合、器のふちの部分が白くなることが多いです。辰砂かどうか見分ける指標になると思います。

Q3.赤いうわぐすりをかけた器が、使うにしたがってその色がはげていくような気がするのですが?
A3.多分ふちの部分が白くなっている為、そのような感じがするのだと思います。上記のように辰砂釉の場合、器のふちの部分が白くなる事が多くあります。また、焼成の条件によって器の広い部分が白くなる事もあります。極端な場合赤い部分が全然なくて、全体が白く焼きあがる場合もあります。 うわぐすりの色はガラス質の物の中に溶け込んだ色ですので、ペンキのように簡単には落ちません。白い部分は赤い色が剥げ落ちたのではなく、最初から白く発色した物とご理解ください。また、赤い色と白い色との出具合が感じのいい場合「窯変物」として貴重品扱いする事があります。このことに関しては2012年12月18日付の店長ブログにも写真付で掲載していますので参考にして下さい。(店長ブログへはここをクリック)

Q4.陶器と磁器の違いは何ですか?
A4.一言で言えば原料の違いです。日本の場合、ほとんどの場合陶器は粘土できていて、磁器は天草陶石でできています。陶器は磁器より本体のガラス質が少ない為、強度が磁器より弱いので、やや厚めに作ってあります。三池焼は陶器の分類に入ります。

Q5.器によってはその重量が重く感じられるのはなぜでしょうか?
A5.一つは本体の原料の焼きしまり具合によります。磁器は陶器より焼きしまっている為、言い換えれば本体のガラス質が多い為、同じ厚さの場合、陶器より重くなります。ところが強度が磁器のほうが強いので、薄く作ってあるので、重たくなりません。同じ原料でも焼成温度が高い場合と低い場合では焼きしまり具合が違ってきて、高く焼成したときのほうがより強く焼きしまっていますので、同じ厚さの場合、重たくなります。 他の理由は、うわぐすりの厚さによります。うわぐすりは全て同じ厚さではなく、種類によって厚さが違います。本体の厚さや原料、焼成具合が同じでも、うわぐすりの厚さによって全体の重みが随分違ってきます。 重さが違う理由としてもう一つあるのが、本体その物の厚さの違いです。当然薄い物は軽いし、厚い物は重くなります。 以上3点が焼き物の重さの違いの主な理由ですが、最近の傾向として軽い物が好まれることが多いです。ところが軽くしようとして、薄く作ると割れやすくなり、うわぐすりを薄くかけると本来の色がでなくなり、土を変えるとうわぐすりとの相性が悪くなり、焼成温度を低くすると、強度が弱かったり色がうまく出なかったりします。焼き物は重い物があったり軽い物があったりする物だとご理解ください。

Q6.電子レンジやオーブンで使用できますか?
A6.電子レンジの場合普通の使用だとほとんど問題ありません。ただ、長時間水につけた陶器はすぐには使用しないほうが賢明だと思います。乾かしてから電子レンジに入れることをお勧めします。オーブンレンジは直接火を使うので使用は避けたほうがいいと思います。

Q7.長期間使用するとひびみたいな物が入ってきますが、問題ありませんか?
A7.それは貫入(かんにゅう)とよばれるものです。貫入は焼成した場合の器本体の収縮具合いとうわぐすりの収縮具合の違いによってでてきます。つまり、うわぐすりの縮み具合が本体の縮み具合より大きいとうわぐすりにひびが入り、これが貫入とよばれる物になります。貫入がある為に焼き物は使用するごとに、貫入に茶渋などが入り込み、その色合いが少しずつ変化して行き、その変化を楽しむと言う文化が日本には昔からありました。焼き物によって貫入が入る場合と入らない場合があります。ほとんどの貫入は焼成後数日のうちに入りますので、ご購入の際よく見ると、貫入の有無が分かります。

Q8.ご飯茶碗を買ったのですが、これを小鉢に使ったり、汁碗に使ったり出来ますか?
A8. もちろん出来ます。こちらとしては、お客様方に様々な使い方をしていただき、使用の仕方を色々教えていただきたいと考えております。

Q9.器が割れたのですが、ホームセンターで売っている陶器用接着剤で直りますか?
A9.観賞用として使う場合はいいと思いますが、食器としては使わないほうがいいと思います。また、昔から器を「金継ぎ」と言う方法で修復していますが、強度が落ちるのでこの方法で直した物も、使用する場合、慎重に扱う必要があると思います。

Q10.焼き物の値段が極端に違う事がありますが、なぜですか?
A10.一つの理由として原料の違いや作業工程の違いなどが有ります。安い原料を使い、機械で大量に生産された物は当然安くなり、高い原料を使い、手作りの場合は高くなります。また作る人によっても値段が違ってきます。つまり人件費の高低によって値段が違います。その他に流通の仕方や生産量、人気度、生産する場合の難易度、ブランドによっても値段は違ってきます。ただ、高いからいい焼き物、安いから悪い焼き物では決してありません。昔安い焼き物として扱われた物が今日では高価になっている物も多数あります。私は焼き物の価値は値段には反映されていないと考えます。投資として考える以外は、その人にとっていい焼き物かどうかは「好き嫌い」で決定していいのではないでしょうか。個人の「好き嫌い」に上下は無く、また尊重されなければならないもので、また変化していくものだと思います。

Q11.骨董品と焼き物はどう違うのでしょうか?
A11.現代の焼き物も時代が経ると骨董品になりますが、現代の焼き物は骨董品ではありません。また、高価になるかどうかは分かりません。別物としてとらえた方が気持ちよく使用できると思います。

Q12.三池焼とは他にあるのでしょうか?
A12.現在は当窯元だけです。三池焼は1975年に先代中村節夫により福岡県大牟田市で始められました。現在は熊本県南関町が所在地です。

Q13.手作りの焼き物の良さとは何でしょうか?
A13.対照的なものとして、機械作りの焼き物があります。強度や使い易さなどにおいてはどちらがどうとは言えません。値段も多くの場合機械作りの焼き物の方が安いのですが、逆の場合もあります。一番の違いは手作りの焼き物は「一つ一つ違いがある」事ではないでしょうか。同じ物を同じ人が同じように作っても、手作りの場合必ず見て分かる違いがあります。買い物をする場合、同じ品目の中で自分が最も好きだと物を選ぶ楽しみは、手作りの品を選ぶことの中にあると思います。